友情提示:如果本网页打开太慢或显示不完整,请尝试鼠标右键“刷新”本网页!
好き≠恋(日文版)-第7部分
快捷操作: 按键盘上方向键 ← 或 → 可快速上下翻页 按键盘上的 Enter 键可回到本书目录页 按键盘上方向键 ↑ 可回到本页顶部! 如果本书没有阅读完,想下次继续接着阅读,可使用上方 "收藏到我的浏览器" 功能 和 "加入书签" 功能!
俗盲俊澝妞俗盲啃证蛞姢膜幛啤iは一つため息を吐いた。こうして、兄と出会えたのは本当に奇跡に近い。いつも忙しい進のことだから、予定も無く話を出来るなんて思ってもいなかった。進の周りを包んでいる空気がとても懐かしく、一緒に居るだけで落ち着いてしまった。
「歩は何にするんだ?」
「ん、何にしようかな」
何を飲むか決めていなかった歩は、テ芝毪斡绀酥盲欷皮い毳幞衰濠‘を手に取った。カフェなだけあって、飲み物は沢山あり、見ているだけで迷いそうだ。メニュ我环陇摔ⅳ盲俊ⅴ幞恁螗僵‘ダが目に入り歩はわざとそこから目を逸らした。メロンソ坤蛞姢皮い毪取⒔∪摔蛩激こ訾埂¥い膜猊畅‘ヒ浼t茶とかしか飲んでいない健人が、メロンソ坤蜃⑽膜工毪韦铣酩幛皮韦长趣瞧啶@いた。驚いた顔を見せると、健人はムッとしていたけれど、そのムッとした表情の中に照れが見えてこんな表情もするのかと感心した。あの時は苛立ちも何も無く少しばかりは楽しんでいた。あのままで居れたら、良かったのかもしれない。そんな考えが頭の中に過ぎって、歩は抗うように頭を振った。
「……歩?」
そんな歩の様子を見ていた進が、不審な行動を取っている歩に話しかける。その声にハッとして、歩は顔を上げた。
「飲み物、決まったか?」
そう言えば、飲み物を聞かれていたと、歩は数分前のことを思い出して、もう一度メニュ四郡蚵浃趣埂¥蓼磕郡巳毪盲郡韦稀ⅴ幞恁螗僵‘ダだった。
「………………メロンソ坤扦怙嫟猡Δ省
呟くように言うと、進は驚いた顔をして「珍しいな、お前がそんなの頼むなんて」と言った。メロンソ坤蝾mんだあとに、どうしてこんなものを頼んでしまったのだろうかと思ったが、すでに進が店員を呼んでいたため訂正することも出来なかった。メロンソ坤蝻嫟啶胜螭啤⒑文辘证辘坤恧ΔK激こ訾工长趣饷娴工胜挨椁ぁ⑽簸韦长趣坤盲俊
「で、何があったんだ?」
進は歩に何かあったことを見抜いていた。笑っていても笑いきれていない無理をした笑みを見た時から、家か学校、どちらかで何かあったことは明白だった。そして、おそらく、家であることも大体は分かっていた。催促するように話しかけると、歩は俯いたまま、話し始めた。
「どうして良いか、分かんないんだよね」
思いついた言葉をそのまま、歩は口に出してみた。最初から弱音みたいなことを言ってしまい、進はどう思っただろうかと顔を上げると、進は歩をジッと見つめ何も言わない。
「今まで我慢してたことが、我慢できなくなってるんだ。別にさ、誰かに嫌われようがなんだろうが、どうでも良かったのにさ。どうでも良くない俺がいんの。だから、どうして良いのか分からない」
貯め込んでいた気持ちを一気に吐き出すと、このときだけすっきりした。しかし、この後でまた貯め込んで苦しくなることは分かっているから、余計に辛くなった。困ったように歩が笑うと、進は「無理をして笑うな」と諌めた。そんなつもりは無かったが、笑うなと言われて一気に感情が体から抜けて行ってしまった。
「これから、ど筏郡榱激い螭坤恧Α¥长韦蓼蓼袱悭昆幛胜长趣忸^の中では分かってるけど、前みたいにも出来ない。どうしていいか、マジで分かんないや……」
ため息交じりに言葉を吐きだすと、進が口を開く。
「一体、何があったんだ。お前が困っていることは良く分かったが、何があったのかが分からない。ちゃんと、説明をしろ。じゃないと分かってやれん」
そう言われてから、歩は自分の気持ちしか話していないことに気付いた。最初に思いつくまま話してしまったのがいけなかったんだろう。健人との間にあったことを簡潔に話すと、進は「……そうか」と呟いてから考え込むように俯いた。一瞬、沈黙が場を包み、進が顔を上げたところで店員がアイスコ药‘とメロンソ坤虺证盲皮俊
「メロンソ坤醋⑽膜韦蜆敗
店員がメロンソ坤违偿氓驻虺证盲啤⒍摔藢い亭搿>v色をした液体が並々と入っていて、いくつもの気泡が上へと昇っている。それを見つめていたら、返事するのを忘れていて「あっちです」と進が店員に促したところで、気付いた。今日はいつも以上にボ盲趣筏皮い啤⒖激à皮い毪韦激à皮い胜い韦工榉证椁胜胜盲皮皮い俊
「あ……、ごめん」
「今日のお前、ちょっと可笑しいぞ。考えすぎじゃないのか? あんまり、無理するなよ」
「……無理してるつもりは無いんだけどね……」
目の前に置かれたメロンソ坤衰攻去愆‘を刺し、クルクルと回しているとため息が聞こえた。
「心のキャパってもんは自分じゃ分からないものだ。今のお前は紛れもなく無理してるよ。辛いのは分かるけどな……。まぁ、今、そんな状態なら、関わったりしないほうが良いと思うぞ。互いに良い刺激にはならないだろう。話し合ったって、言い争って終わりな気もするしな」
進はそう言うと歩と同じようにストロ颔ⅴぅ攻畅‘ヒ舜踏筏啤⒖冥丐冗んだ。そのしぐさを見つめて、歩は息を吐きだした。関わらないほうが良いというのは、考えなくても分かっていることだった。けれど、妙に健人のことを意識してしまい、構わずには居られない。そして、考えれば考えるほど、怒りにも似ている感情が込み上がってくるのだった。
進に話せば少しは解決すると思っていたのに、全く解決せず、焦燥ばかりが募った。
両親が旅行に行って1日目の土曜日。健人は何もせずに、部屋の中で一日を過ごした。目を覚ましたのは夕方で、こんな時間になるまで眠っていたのは初めてのことだった。夏休みと言っても、学校へ行っている時と変わりない生活を送っていた健人にしては、初めての試みであり、無駄な時間を過ごしたと後悔した。
家の中はがらんとしていて、歩も友達の家に泊まりに行ってしまった。一人きりの家はとても広く、家事をしなければいけないと思ったが、時刻を見て面倒くさくなってしまった。明日もどうせ、一人で家にいるのだ。やるのは明日でも構わないと思い、健人は適当に夕食を作るとソファ钎触恁触恧趣筏皮い俊
やることも無く、家の中で時間を潰すのは非常に困難だった。ましてや、夕方に起きたせいで日付が変わっても眠気は一向にやってこない。普段だったら部屋で寝ている時間だと言うのに、リビングでゴロゴロしているのはどこか奇妙だった。
寝転がったままリモコンに手を伸ばし、テレビを付ける。深夜にやっているテレビを見るのは初めてで、有名な映画が放送されていたので暇つぶしにそれを見ることにした。
とても頭の良い犯罪者に助言を聞きながら、刑事が事件を解決していく話なのだが、途中から見たせいでどうも話が掴めなかった。中々、グロテスクなシ螭猡ⅳ辍⑸钜工妊预Δ长趣谴丹妞à扦悉胜帜护坤盲俊
シ螭隙《去楗ぅ蕙氓工恰⒈“丹ぜ窑沃肖切淌陇瑧须姷皮蚱证颂剿鳏颏筏皮い搿M猡扦侠坐Qが鳴り響き、雨が降っている。そのシ螭蛞姢克查g、健人の中で恐怖が込み上がってくる。決して、映画が怖いわけではない。昔の光景が、頭の中にフラッシュバックした。
それはまだ、健人が小学生の時だった。
父が死んでしまい、父の代わりに働きに出ている母は夜遅くにならないと帰ってこないことが多かった。前までは家に居た母だったが、それが無くなってしまい、健人は少し寂しかった。
夏休みに入っても、母はずっと働いていた。健人を育てるために一所懸命働いてくれていることは小さいながらに理解していたので、寂しいとは口にしなかった。それでも夜が更けて、辺りが暗くなってくると寂しさと一緒に、少しばかり怖いと思うようになった。
電気を煌々と付けているにも関わらず、どこからか誰かが覗いているのではないかと思ってしまい、健人はキョロキョロと辺りを見渡す。一人しか居ないこの家で、誰かがいるわけもなく、いつも杞憂に終わる。早く帰ってきてほしいと思う日は毎回、遅くなった。今日も遅くなるのだろうと、健人が時計を見た時だった。
ド螭绒Z音が鳴り響いた。それに驚いた健人は悲鳴を上げて、部屋の隅へと移動する。何が起こったのか、それが雷だと気付くのに少し時間を要した。ザ纫簸蛄ⅳ皮朴辘丹晔激帷⑽莞蛴炅¥丹い皮い搿¥饯我簸摔猡婴盲辘筏皮い蓼ぁ⒔∪摔舷イ虮Гà贫驻盲皮い俊
雷は嫌いだった。
それからのことは思い出したくもない。健人はすぐにリモコンを掴んで、テレビを消した。リビングの電気も消すのを忘れて、そのまま部屋へと駆け上がる。手ががくがくと震えていた。一人で居るのを辛いと思わなくなったのはいつからだっただろうか。その生活が当たり前になれば、一人で居ることも苦ではなく、むしろ一人でいたほうが楽だった。
部屋の扉に凭れかかって、健人はズルズルとその場に沈む。乱れた息を整えて、大丈夫だと何度も自分に言い聞かせた。怖いと思うような年でもないし、今は雨が降っているわけでもなく、雷が鳴っているわけでもない。誰かと一緒に居る時は大丈夫なのに、一人きりになると急に怖くなる。震えている手を掴んで、健人は口元へ手を持って行く。
「……大丈夫」
自分に言い聞かすように、もう一度そう呟いた。大丈夫と何度か言うことで、雨の日の記憶は薄れていく。
大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出した。ようやく落ち着いてきた心拍数に安堵し、健人は顔を上げた。
ク椹‘も付けず、ムッとしている室内は小さいころを思い出させる。心に根付いているトラウマは、いつも容易なことで健人を苛ませるのだった。
昔話に花が咲き、夜遅くまで喋っていた歩は昼過ぎに目を覚まし、夕方まで友人の家にお邪魔させてもらい、次の寝床を探すべく、道をぶらぶらと歩いていた。こうして宛てもなく歩いていると家出をした少年のようで、どこか空しくなる。一度、家に帰ったほうが良いだろうかと迷いながら薄暗くなっていく空を見つめていた。
家の近くにある公園に立ち寄り、ブランコが目に入ったのでブランコへと向かう。闇が迫りつつある時間帯のせいか、公園には誰もいなかった。こんなときに限って誰からもメ毪搐胜ぁ4潦埭被妞硎兢丹欷皮い胄瘞·蛞姢膜幛啤⒁护南ⅳ蛲陇訾筏俊
こんなことをしていてもどうにもならないことは分かっている。けれども、こんな状態で健人と顔を合わせてしまえば、言わなくて良いことも言ってしまいそうで怖かった。こんなにも人のことを嫌うなんて初めてのことだから、どう接していいのかも分からない。そして、嫌いになった理由もだんだんと分からなくなっていった。
地面を蹴って、ブランコを動かす。錆びているのか、ブランコは揺れる度に甲高い音を出して耳障りだった。日が完全に沈んでしまい、公園の蛍光灯が点く。もう一度、携帯を取り出して時刻を確認すると、8時を過ぎたところだった。
友人と撸Г螭扦い毪趣稀⑦'んでいることに夢中で健人のことなど考える余裕はなかった。けれど、一人きりになったとき、どうも頭の中には健人が浮かんでしまう。今は、健人のことで頭がいっぱいになっていた。今頃、一人で悠々と生活しているのだろうと考えるだけで、体の奥から何かが込みあがってきた。
どうして、こんなに憎むようになってしまったのだろうか。考えるのも、面倒になる。初めて顔を合わせたときは、なるべく仲良くしようと思っていた。兄と仲良くできていたのだから、健人ととも仲良くできると思い込んでいた。それなのに、健人は最初から歩に対してとても冷たかった。
その理由は何なのだろうか。最初から嫌われるようなことは、絶対にしていない。考えれば考えるほど、健人の考えが分からずもどかしい。もう、考えるのはやめようと思い、携帯を開いた。
リダイヤルからジンの番号を探し出して、通話ボタンを押す。この時間だったら暇をしているだろうとコ胍簸蚵劋い皮い郡椤4コ肽郡扦瑜Δ浃娫挙顺訾俊
『……もっしも贰
「あ、もしもし? 暇?」
『お前よりかは暇じゃねぇな』
からかうような声が聞こえて、歩は少しだけ笑った。暇なときにしか電話をしないことがバレている。
「ちょっと暇つぶしに付き合ってよ」
『電話なら良いぞ。これから、雨降るらしいから外には出たくない』
「……え」
これから雨が降ると聞いて、歩は空を見上げた。日が沈むまでは晴れ渡っていた空も、今は群青色ではなく灰色に染まっている。分厚い雲が上空を支配しているのが、よく分かった。
「今から、雨ふんの?」
『お⑻鞖萦鑸螭扦浃盲皮郡尽@子辘坤盲皮琛6虝r間だけど、めちゃくちゃ降るらしいぞ』
ジンがそう言った直後だった。歩の腕に雨粒が落ちる。それを合図に、頭上から物凄い量の雨が降り注いできた。
「うお!? マジだ!! ちょ、今、外だ!」
『うわ、お前、バカだろ。意地張ってね扦趣辘ⅳà杭窑藥ⅳ欷琛
「……そ、そうするわ……」
とにかくこのままでは携帯が潰れてしまうと思った歩はすぐに電話を切り、ポケットの中に携帯を突っ込んだ。一瞬にして降り注いできた雨に歩はびしょぬれになってしまった。空が光り、雷鳴が轟く。
「……マジかよ
ずぶぬれになった自分の体を見つめて、歩は立ち上がった。こんなに濡れてしまったら走って帰る気も失せてしまい、ゆっくり帰ることにした。稲妻が空を走り、それに応じて雷鳴が鳴り響く。うるさいほどの雨音が鼓膜を揺すり、さっきまでうだうだと考えていた思考は雨と一緒に流れていくような気がした。
公園から出て家へと向かう。家に帰りたくないと思っていたが、こんな状態で誰かの家に行くこともできない。いくら夏だと言っても、びしょぬれの状態が続けば風邪だってひいてしまうだろう。夏休みを風邪でなんか潰したくないと、歩は少し歩くスピ嗓蛟绀幛俊
空が、明るく光る。その瞬間、轟音が町中に響いた。
「……落ちただろ、今の」
あまりの音の大きさに歩は足を止めた。先ほどまで明るかった住宅街が一気に真っ暗になり、街頭すらも消えてしまっている。雷が落ちて停電してしまったのだろう。本当に災難だなと思ったとき、家の中はどうなっているのだろうかと健人のことを心配してしまった。
どうして健人の心配などしているのかは分からない。けれども、映画館でビビッている健人の姿が脳裏に過ぎって、嫌な予感がした。
どんなにグロテスクなシ螭扦忸喩护膲浃à胜盲拷∪摔⒎R妻が光って映し出された殺人鬼を見ただけで驚いていた。小さく悲鳴を上げて、見たくないと目を細めていた。分かりやすいぐらい、手が震えていた。健人は殺人鬼が苦手だったのではなく、雷が嫌いだったのではないだろうか。
そう思ったら、今すぐ、家に帰らなければいけない気がして歩は走り出した。家までは走ったら2、3分で到着するだろう。雨に濡れた服は重たく、歩の行動を邪魔している。
「……クソッ」
こんな状態ではどうにもならないと言うのに、思うように動かない体に舌打ちして歩は走り続ける。一刻も早く、家に帰らなければいけない気がしていた。ぐちょぐちょに濡れてしまった靴で、歩は真っ暗な道をひたすら走り続けた。
家の前まで到着すると予想通り、家の中は真っ暗になっていた。ポケットから鍵を取り出して、歩はすべる指にもどかしさを覚えながら鍵を開ける。ドアを開けてびしょぬれになったままリビングへ行くと、真っ暗な部屋はシンとしていた。
「……健人?」
名前を呼んでも、反応はなかった。雨音と、時折雷鳴の音が響いてくるだけで、部屋の中からは物音が一切しない。稲妻の光で部屋の中が照らし出されても、人影は無かった。
歩はリビングの中に入り、濡れたかばんをその場に置いた。髪の毛から滴ってくる水滴を右手でぬぐい、額に張り付いた前髪をかき上げる。ぐっしょりと濡れた髪の毛はかき上げただけでも、かなりの量の水が溢れてきた。
雨音が空間を支配している。暗いリビングに健人の姿は見えない。部屋に居るのだろうかと、階段へ続く扉の前に移動したとき、窓の外から雷の光りが差し込んできた。それに続いて、雷鳴が聞こえてくる。
「……っ!」
漏れるような声が聞こえて、歩は振り返る。ソファ斡绀硕驻盲皮い肴擞挨虬k見して、それに近づいた。
ソファ韦趣长恧匦肖取⒔∪摔渐榨々‘と家の壁の隙間で蹲っていた。膝を抱えて座っているせいで表情は分からないけれど、尋常ではないぐらい震えているので怖がっていることは一目瞭然だった。
「健人!」
小刻みに震えている健人の肩を掴むと、悲鳴が耳を突いた。パニックに陥っている健人は目の前に居るのが歩だと気づかずに、伸ばした手を振り払う。雷が鳴ると驚くように体を震わせて、自分のひざを抱え込んだ。雷が鳴ることなんて今までたくさんあったはずだ。そのたび、健人はこうして一人苦しんでいたのだろうか。こんなに暗い部屋で、誰も怖がっていることに気づいてもらえず、雨がやむのをこうして待っていたのだろう。そう思ったら居た堪れなくなった。
歩は膝をついて震える体を、包み込むように抱きしめた。
「……な」
いきなり抱きしめられた健人は、何が起こったのか分からなかったが、縋るように濡れている腕を掴む。目の前に差し出された手に、縋らずには居られなかった。怖すぎて泣くこともできず、恐怖だけが頭の中を支配していた。
雷は嫌いだった。
大きい音と、いきなり光る稲妻が、とても怖かった。小さいころ、一人でいることが怖いから電気をつけていたのに、雷が落ちたせいで停電し、辺りが真っ暗になってしまった。すると頭の中で一気に怖いことが思い浮かんで、それらが襲い掛かってくる。それが物凄く怖かった。怖くて堪らなかった。こんなにも怖がっているのに、誰も助けてはくれなかった。
健人にとって、それが一番、怖かった。
「大丈夫だから」
優しい声が聞こえて、健人はゆっくりと息を吐き出した。まだ、抱きしめてくれているのが歩だと分かっていなかったが、優しい声は耳から脳へと響いてきた。濡れていて冷たいはずなのに、抱きしめてくれている体はとても温かくて、心地よかった。雨の音も、雷の音も、遠ざかっていく。
少し硬くてごつごつとした手が、背中を優しく撫でる。大丈夫だからと耳元で囁かれて、心拍数もようやく元通りへと戻っていく。
やっと、怖がっていることに気づいて助けてくれた。そのことに安堵した健人は、ようやくパニック状態から抜け出すことができて、現状を把握する思考を取り戻した。
健人は少し顔を上げて、抱きしめている歩の顔を見る。2、3度瞬きをして、目の前に居るのが本当に歩なのかと自分の目を疑った。雨に濡れたのか、髪の毛や服はびしょぬれになっていて、いつもとは摺﹄儑鞖荬馈1Г筏幛椁欷皮い毪长趣恕ⅳ胜激訍櫎媳Г胜盲俊
「……あ、ゆむ……?」
恐る恐る声をかけると、ゆっくりと体が離れていった。健人の顔を覗き込み、落ち着いているのを見ると「大丈夫?」と今度は確認するように尋ねてきた。
「え、あ……、うん」
どう返事をして良いのか分からず、健人は頷くだけ頷くと歩は健人の頭を撫でて「良かった」と笑った。今まで見たことの無い、歩の笑顔に健人は固まった。へらへらしているわけでもなく、無理をして笑っているわけでもない、クラスメ趣艘姢护皮い毪瑜Δ收瘠辘蓼い啃︻啢扦猡胜ぁ=∪摔坤堡讼颏堡啃Δ撙坤盲俊
電気が復旧したのか、パパッと何度か点滅した後、リビングに灯りが点いた。間近にいる歩の顔をじっと見つめて、どうしてここにいるのかと考えたが、理解できなかった。そして、なぜ、あんなふうに抱きしめたのかも分からない。雷が鳴り始めて、轟音とともに停電したところまでは覚えているが、歩が帰ってきたことなど覚えていなかった。
「……雷、苦手だったんだね」
「え……?」
「あんまり、無理しないほうがいいよ。じゃ、俺、風呂入ってくるから」
歩は目も合わさずにそう言うとすぐに階段を上がって行ってしまった。何が起こったのか分からず、健人はその場に座り込んだまま、きょとんとしていた。濡れた体に抱きしめられたせいで、服が濡れて冷たいはずなのに、パニックに陥ったときと同じように心拍数が上がっていき、体が熱くなってきた。
助けてくれた理由が分からない。嫌いだと言って、2ヶ月以上口すら利いていなかったと言うのに。かなり嫌っていたはずなのに、こんなことをされて気持ち悪いとも思わない自分の感情に、健人は戸惑っていた。
それは歩も、同じだった。
階段を駆け上がり、自室へ入ると同時に大きく息を吐き出す。雨が降り始めて、雷が鳴り、健人が怖がっているのではないかと思ったら我を忘れたように走り出していた。蹲って震えている健人を見たら、放っておけなかった。嫌っていて、顔も見たくない、口も利きたくないと思っていたのに、どうして抱きしめてしまったのか自分の行動が分からなかった。
「……何、してんだ。俺は……」
部屋の扉に凭れて、ずり落ちていく。恐る恐る名前を呼ばれた声が忘れられない。
健人が、名前を呼ぶのは、初めてのことだった。落ち着かない鼓動を抑えるように、歩は自分の胸を握り締めた。
ようやく雨もやみ、心拍数が落ち着いてきた頃、濡れた服にク椹‘の風が当たり健人は身震いした。抱きしめられただけでこんなにも濡れてしまったのだから、歩はもっと濡れていたんだろう。たまたま外に居るときに雨が降ってきてしまったのか、それとも健人が怖がっているのを知って、雨が降っている中を帰ってきたのかどうかは分からない。けれど、大丈夫と言って宥めてくれた声が忘れられなかった。
このままでは風邪をひいてしまうと思い、健人は立ち上がった。部屋に向かおうとして階段の近くに行くと、びしょぬれになったカバンが放置されていた。それは紛れも無く歩のもので、こんなところに放置していても邪魔なだけだ。片付けようとして、伸ばした手が止まる。勝手に片付けたりなんかしたら、歩は機嫌を悪くしそうだ。しかし、気づいてしまった以上、放置しておくのも気が引けてどうすればいいのか分からなかった。
階段から降りてくる足音が聞こえ、健人はとにかくこの場から立ち去ろうとソファ貞搿%譬‘ブルの上に置いてあるリモコンを手に取り、テレビをつけた。それと同時ぐらいに扉の開く音が聞こえて、心臓が飛び跳ねた。
「ねぇ、健人」
普通に話しかけられ、健人は振り向く。どう返事をして良いのか分からず、声を出すことができなかった。歩はまだ服を濡らしたまま、着替えを持って立っている。ぽたぽたと服の裾から落ちている雫が水溜りになっていた。
「ご飯ある? 俺、腹減ってんだけど」
先ほどと変わらない声音に、健人は戸惑い、どう返事をして良いのか分からなかった。けれど、聞かれているのに無視をすることはできず、健人は口を開いた。
「……要らないんじゃなかったのかよ」
いつも通り話しかけてきてくれた歩にそんな無愛想なことを言ってしまい、健人は後悔した。こんなことを言いたかったのではない。作ればあるとか、そんなこと言いたかったのに、思いとは裏腹に出てきた言葉は冷たいものだった。これではまた、仲が険悪になってしまうと思い、健人は俯いた。
無愛想な声に、歩は少し笑った。
「ちょっとさ、意地張ってたんだよね。友達のとこ、泊まりに行く予定、無かったんだ」
「……え」
「それにこんなびしょぬれで友達のところにもいけない。だからさ、あるなら作ってよ。昼からなんも食べてないんだ」
困ったように笑う歩を見て、余計に居づらくなった。ひどいことを言った自覚はあり、またも険悪な状態になってしまうと懸念していたのに、歩はそれを物ともせず逆に申し訳なさそうな顔をした。そんな表情を見ていたら
快捷操作: 按键盘上方向键 ← 或 → 可快速上下翻页 按键盘上的 Enter 键可回到本书目录页 按键盘上方向键 ↑ 可回到本页顶部!
温馨提示: 温看小说的同时发表评论,说出自己的看法和其它小伙伴们分享也不错哦!发表书评还可以获得积分和经验奖励,认真写原创书评 被采纳为精评可以获得大量金币、积分和经验奖励哦!