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仮面城(日文版)-第6部分
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ああ、こうして、文彦にまつわる秘密のベ毪稀ⅳ筏坤い摔悉欷皮い韦坤盲俊
【 日本大观园 。jp118。 】友情整理
文彦の父
文彦はほんとうは、竹田家の子どもではなかったのだ。赤ん坊のころ、香港の公園でひろわれた捨て子だったのだ。そして前後の事情から考えると、文彦はそのじぶん、香港でゆくえ不明になった有名な科学者、大野秀蔵博士の子どもではないかと思われるのだ。
それでは、文彦のほんとうのおとうさん、大野秀蔵博士はどうしたのだろう。そのころのうわさによると、大野秀蔵博士は、怪盗銀仮面にゆうかいされたのだということだが、はたしていまでも生きているのだろうか。
それにしても恐ろしいやつは銀仮面だった。そのむかし、秀蔵博士をゆうかいしたばかりか、いままた、文彦の義理のおかあさんや、文彦にダイヤをくれた大野健蔵老人をゆうかいして、怪船『宝石丸』にのって、いずこともなく連れ去ってしまったのだ。ああ、ひょっとすると、その大野健蔵老人と、大野秀蔵博士とのあいだには、なにか関係があるのではないだろうか。
それはさておき、文彦のおとうさんから、文彦の秘密を聞いた金田一耕助と等々力警部は、すぐに香代子を呼びいれた。
「お嬢さん、あなたのお名まえは大野香代子ですが、ひょっとすると、十何年かまえに、香港でゆくえ不明になった大野秀蔵博士と、なにか関係があるのではありませんか?」
香代子はハッとしたように、一同の顔を見まわしたが、やがて低い声で、
「そうなのです。秀蔵博士は父の弟、つまりあたしのおじさんにあたるかたです」
「なるほど、そして文彦くんは、秀蔵博士の子どもさんなのですね」
香代子はまたハッとしたが、これいじょう、かくしてもむだだと思ったのか、
「そうでした。父は長いあいだ、文彦さんをさがしていましたが、近ごろやっと、竹田新一郎というかたに、育てられているということがわかったのです」
「すると、文彦くんはあなたのいとこですね。なぜ、いままでそれをかくしていたのですか」
「それは……」
香代子はためらいながら、
「文彦さんをじぶんの子として、育ててくださったいまのご両親に、無断でそんなこといっちゃ悪いと思ったのと、文彦さんが秀蔵博士の子どもとわかると、銀仮面のために、文彦さんがどのような恐ろしい目に、あわされるかも知れないと思ったからです」
「香代子さん」
そのとき、警部にかわって、そばから口をだしたのは金田一耕助だった。
「銀仮面はなにをねらっているのです。ダイヤですか。それともダイヤよりもっとたいせつなものをねらっているのじゃありませんか?」
それを聞くと、香代子はサッと、まっ青になった。金田一耕助はひざをのりだし、
「ねえ、香代子さん、あなたがたは、なぜそんなにビクビクするんです。なぜ、なにもかもうちあけて、警部の力をかりないんです」
「いいえ、いいえ、それはいけません」
香代子は恐怖にみちた声をはりあげて、
「おじさま、秀蔵博士はまだ生きていらっしゃるのです。銀仮面のために、どこかにとじこめられていらっしゃるのです。あたしたちが、うっかりしたことをしゃべったら、銀仮面は、おじさまを殺すというのです。だから……あたしたちはなにもいえないのです」
それを聞くと一同は、思わずギョッと顔を見合わせた。文彦のほんとうのおとうさんが生きている。十何年もの長いあいだ、銀仮面のために、どこかにとじこめられている。それはなんという恐ろしいことだろう。
「香代子さん、銀仮面とは何者です。いったいだれなんです」
「知りません、存じません。それを知っているくらいなら、こんな苦しみはいたしません。あいつはじつに恐ろしいひとです。あたしたちのすることは、いつもどこかで見ているのです。ひょっとすると、いまあたしがこんな話をしていることも、あいつは知っているかも知れません。ああ恐ろしい、銀仮面!」
香代子は両手で顔をおおうと、風のなかの枯れ葉のように、肩をぶるぶるふるわせた。
ああ、それにしても銀仮面とは何者か。そしてまた、さっき金田一耕助がいった、ダイヤよりもっとたいせつなものとは、いったいなんのことなのだろうか。
樹上の怪人
その夜の十二時ちょっとまえ、文彦はただひとり、さびしい井の頭公園の池のはたに立っていた。
きみたちも覚えているだろう。銀仮面はおかあさんを連れ去るとき、あすの晚十二時に、黄金の小箱を持って、井の頭公園へくるようにという手紙を、文彦の家のポストのなかへ投げこんでいったことを!
おかあさんが宝石丸にとらえられていることが、わかったいまとなっては、銀仮面がその約束を、守るかどうか、うたがわしいと思ったが、それでも、念のために、いってみたらよかろうという、金田一耕助の意見で、文彦はいま、黄金の小箱をポケットに、公園のなかに立っているのだった。
公園には金田一耕助と等々力警部、ほかに刑事がふたり、どこかにかくれているはずなのだが、文彦のところからは見えない。
空はうっすらと曇っていて、ほのぐらい井の頭公園は、まるで海の底か、墓地のなかのようなしずけさである。井の頭名物のひとかかえ、ふたかかえもあるような、スギの大木がニョキニョキと、曇った空にそびえているのが、まるでお化けがおどっているように見えるのだ。
文彦はそういうスギの大木にもたれかかって、さっきからしきりにからだをふるわせていた。こわいからだろうか。いや、そうではない。銀仮面が約束どおり、おかあさんを連れてきてくれるかどうかと考えると、きんちょうのためにからだがふるえてくるのだ。
おかあさん、おかあさん……。
文彦は心のなかで叫んだ。おかあさんさえ帰ってきてくれたら、ダイヤもいらない、小箱もいらない、なにもかも銀仮面にやってしまうのに……。
どこかで、ホ郓‘と鳴くさみしいフクロウの声。池のなかでボシャンとコイのはねる音。遠くのほうでひとしきり、けたたましくほえるイヌの声……だが、それもやんでしまうと、あとはまた墓場のようなしずけさにかわった。
文彦は腕にはめた夜光時計を見た。かっきり十二時。ああ、それなのに、銀仮面はまだあらわれない。だまされたのだろうか。
おかあさん、おかあさん……。
文彦はまた心のなかで叫んだが、そのときだった。風もないのにザワザワと、もたれているスギのこずえが鳴る音に、文彦はギョッとして、上を見たが、そのとたん、全身の血が、氷のようにひえていくのをおぼえたのである。
スギのこずえになにやらキラキラ光るもの……アッ、銀仮面だ。泣いているとも、笑ってるともわからない、ツルツルとしたあの白銀色のぶきみな仮面。
「うっふふ、うっふふ」
銀仮面のくちびるから、低い、いやらしい笑い声がもれてきた。
「小僧、よくきたな。いまそっちへおりていく」
銀仮面はまるでコウモリのように、長いマントのすそをひるがえすと、ヒラリとスギのこずえからとびおりた。文彦は思わず一步うしろへあとずさりした。
ああ、恐ろしい。その銀仮面がいま、文彦の前に立っているのだ。ピンと一文字につばの張った、山の低い帽子の下に、あのいやらしい銀の仮面が、にやにや笑いをしている。そして、からだはスッポリと、長いマントでくるんでいるのである。
「うっふふ、うっふふ、小僧、なにもこわがることはないぞ。約束さえ守れば、わしは悪いことはせん。小箱を持ってきただろうな」
「は、はい、ここに持っています」
文彦はポケットをたたいて見せた。
「それをこっちへよこせ」
「いやです」
「なんだ、いやだと?」
「おかあさんを、先にかえしてくれなければいやです。おかあさんはどこにいるんです」
それを聞くと銀仮面の仮面の奥で、二つの目が、鬼火のように気味悪く光った。
消えた銀仮面
ちょうどそのころ金田一耕助は、文彦から三百メ去毪郅嗓悉胜欷俊⒉荬啶椁韦胜摔欷皮い俊
金田一耕助ばかりではない。等々力警部やふたりの刑事も、文彦をとりまく位置に、めいめい三百メ去毪郅嗓悉胜欷郡趣长恧摔欷皮い毪韦馈¥坤椤€y仮面がどの方角からくるとしても、だれかの目にふれずにはいられない。銀仮面のすがたを見たら、いったんやりすごしておいて、あとでそっと知らせ合うことになっているのだ。
それにもかかわらず、いまもってどこからも合図のないのはどうしたことか。時計を見ると十二時三分。金田一耕助はしだいに不安がこみあげてきたが、そのときだった。
「だれかきてくださぁcy仮面です!」
たまげるような文彦の声。金田一耕助はそれを聞くと、イナゴのように草むらからとびだし文彦のほうへいっさんにかけていったが、するとそのとき、むこうのスギの木かげから、パッととびだしてきたのは銀仮面。
銀仮面は耕助のすがたを見ると、クルリと身をひるがえし、左手の丘をかけのぼっていく。
しめた、その丘の上には、等々力警部が見張りをしているはずなのだ。
「警部さん、警部さん、銀仮面がそっちへ逃げましたぞ!」
金田一耕助も丘の小道へかかったが、そこへやってきたのは文彦である。
「あ、金田一先生!」
「おお、文彦くん、きみもきたまえ!」
ふたりが丘を半分ほどのぼったときだった。丘の上からピストルをうちあう音。金田一耕助と文彦は、ギョッとして顔を見合わせたが、すぐまた、すばやく坂をかけのぼった。
「吉井くん、村上くん、銀仮面がそっちへいくぞ!」
丘の上から等々力警部の声。吉井、村上というのは見張りの刑事なのだ。金田一耕助と文彦はその声をたよりに、曲がりくねった坂道をのぼっていったが、ふいに文彦が、なにかにすべってよろけてしまった。
「文彦くん、どうした、どうした?」
文彦は懐中電燈で足元を照らして見て、
「アッ、先生、こんなところに血が……」
見れば道の上にべっとりと、血がこぼれているのだ。金田一耕助と文彦は、おもわず顔を見合わせた。
「先生、銀仮面はけがをしたのですね」
「そうらしい、警部のたまがあたったのだろう。この血のあとを伝っていこう」
しかし、そこはひざもうまるほどの草むらなので、血のあとはすぐに見えなくなってしまった。その広い草むらには、あっちに二本、こっちに三本と、スギの大木がまもののように、暗い夜空にそびえている。
ふたりがその草むらをわけていくと、またピストルをうちあう音。ふたりが顔をあげて見ると銀仮面が草をわけてよろよろと、こっちのほうへやってきた。そしてその三方からじりじりとせまってくるのは、等々力警部にふたりの刑事。金田一耕助もそれを見ると、警部にかりたピストルをとりだした。
ああ、もうこうなれば銀仮面は、袋のなかのネズミもおなじことである。
銀仮面はそれでもまだ、降参しようとはせず、あちらのスギ、こちらのスギと、たくみに身をさけながら、逃げられるだけ、逃げようとするようだ。それをとりまく五人の輪は、銀仮面を中心に、しだいにせばめられていった。
と、ふいに身をひるがえした銀仮面は、また一本のスギの木かげにかくれた。そのスギの木というのは、地上三メ去毪郅嗓胃撙丹乔肖椁欷壳肖曛辘坤⑻丹趣い盲郡椤⒍ㄒ陨悉猡ⅳ恧Δ趣いΔ筏恧猡危郏!袱筏恧猡巍工税悖荬扦ⅳ搿
五秒――十秒――、銀仮面は切り株のかげにかくれたまますがたを見せない。その切り株をとりまいて、四方からじりじりとせまっていくのは警部や刑事や金田一耕助。とうとう一同は、ほとんど同時に、切り株のそばへたどりついたが、そのとたん、キツネにつままれたように顔を見合わせた。
ああ、なんということだろう。銀仮面のすがたはどこにも見えなくなっていたのだった。
窓にうつる影
「そんなはずはない。そんなばかなことはない。あいつだって血と肉でできた人間なんです。煙のように消えるなんて、そんなばかな……!」
一同があっけにとられてポカンとしているとき、そう叫んだのは金田一耕助である。怒りにみちた声だった。
「どこかにかくれているんです。さがしましょう。もっとよくさがすんです」
しかし、いったいどこをさがせばいいのか。五人の人間が五人とも銀仮面がこの切り株の陰へはいるところを見たのである。しかもだれひとり、そこから出るところを見た者はいない。銀仮面はこの切り株のなかへ吸いこまれたのだろうか。
そうだ。銀仮面は切り株のなかへ吸いこまれたのだ。それを発見したのは文彦だった。
「アッ、先生、この切り株はうつろですよ。そして、こんなところに血が……!」
「な、なんだって!」
一同がびっくりしてふりかえると、文彦は懐中電燈で、切り株の幹を照らしていた。
その切り株というのは、しめ縄が張ってあり、一面にツタの葉でおおわれているのだが、|縦《たて》にひとすじさけ目があって、そのさけ目にべっとりと血がついている。まるで、そこからけが人が、なかへ吸いこまれていったように……。
金田一耕助がびっくりして、切り株をたたいてみると、はたしてポンポンとつづみのような音がした。等々力警部はツタの葉をかきわけて、切り株のはだをなでていたが、
「ああ、ここにちょうつがい[#「ちょうつがい」に傍点]がある!」
なるほど、縦にならんだちょうつがい[#「ちょうつがい」に傍点]をたくみにツタの葉でかくしてあるのだ。
「わかった、わかった、警部さん、この切り株はうつろになっていて、木の皮がドアになっているのです。どこかにとって[#「とって」に傍点]は……?」
そのとって[#「とって」に傍点]もすぐに見つかった。切り株の幹の、地上一メ去毪肖辘韦趣长恧恕⒋螭胜长证ⅳ盲郡ⅳ饯欷颏摔盲屏Δ蓼护摔窑盲绚毪取⒛兢纹い丧ⅳ韦瑜Δ衰靴氓辘窑椁い啤ⅳ胜楗单盲取⒗浃郡わLが吹きあげてきた。
のぞいて見ると、なかはうつろになっているばかりではなく、地の底にむかって、まっ暗な縦穴がついているのだ。一同はおもわず顔を見合わせた。
「わかりました、警部さん。こういう秘密の抜け穴があるからこそ、あいつは今夜の会見を、井の頭と指定してきたんです。さあ、ひとつなかへもぐってみましょう」
金田一耕助は、はかまのすそをたくしあげると、ピストル片手に、いちばんにその穴へもぐりこんだ。それにつづいて等々力警部、文彦、それからふたりの刑事がつぎつぎと、縦穴へもぐりこむ。
その穴はやっと人ひとり、もぐれるほどの広さしかなかったが、それでもちゃんと、鉄のはしごがついていた。その鉄ばしごをおりていくと、ふかさは思ったほどもなく、間もなく横穴にぶつかった。
その横穴をはいっていきながら、文彦は、成城の大野老人の家にも、これとおなじような抜け穴のあったことを思いだし、なんともいえぬほど、ふしぎな感じをいだいた。
先頭をはっていく金田一耕助は、片手にピストル、片手に懐中電燈をかざしながら、
「警部さん、銀仮面はたしかにこの抜け穴を伝って逃げたにちがいありませんよ。点々として血がつづいています」
その抜け穴をはっていくこと三百メ去毪ⅳ蓼辍㈤gもなくゆく手がほんのり明るくなってきた。どうやら穴のいっぽうの入り口へ、近づいてきたらしい。
「みなさんはここに待っていてください。ぼく、ちょっとようすを見てきます」
金田一耕助は懐中電燈をたもとへしまい、ピストル片手に、入り口まではっていったが、そこはがけの中腹になっており、がけの下にはりっぱな洋館がたっている。そして、洋館の二階の窓の一つには、あかあかと電燈の光がさしているのだが、金田一耕助が穴の入り口から顔をだしたとたん、その窓のカ匹螭恕ⅳ盲辘趣Δ膜筏坤丹欷郡韦稀ⅳⅳⅰⅳ胜螭茹y仮面の影ではないか。
「アッ、銀仮面?」
金田一耕助が息をのんだせつな、銀仮面の持っているピストルが、ズドンと火を噴いたかと思うと、
「人殺しだア、助けてえ!」
と、叫ぶ声とともに電燈が消えて、窓はまっ暗になった。あとは墓場のしずけさである。
ああ、それにしてもこれはだれの家だろうか。そして、救いを呼ぶ声はいったいだれなのだろうか。
意外なけが人
金田一耕助はピストルの音を聞くと同時に、抜け穴からとびだし、がけをすべりおりていった。抜け穴のなかに待っていた文彦や等々力警部、さてはふたりの刑事たちも、大急ぎでそのあとからつづく。
庭をつっきっていくと、すぐ目のまえに勝手口。ドアがあいているので、金田一耕助がまっさきにとびこむと、家のなかはまっ暗だったが、懐中電燈の光をたよりに、すぐ階段のありかを発見した。
「警部さん、きてください。こちらです」
金田一耕助を先頭にたて、一同がまっ暗な階段をのぼっていくと、ろうかの左手に大きなドア。銀仮面の影がうつっていたのは、たしかにこのへやにちがいない。
一同がドアのまえにたたずんで、耳をすますと、なかから聞こえてくるのは苦しそうなうめき声。金田一耕助はそれを聞くと、ドアをひらいて、壁の|傍《そば》のスイッチをひねった。と、パッと電燈がついたが、そのとたん、一同はおもわずアッと立ちすくんだ。
そこは寝室になっているらしく、へやのすみにりっぱなベッドがあったが、そのベッドの下にパジャマを着た老人があけに染まっているのだ。
金田一耕助はそれを見ると、つかつかとそばへより、老人のからだを起こしたが、その顔を一目見るなり、
「アッ、こ、こ、これは……!」
と、びっくりしておもわずどもってしまった。
「き、金田一さん、ど、どうかしましたか?」
等々力警部もつりこまれて、おもわずおなじようにどもった。
「警部さん、見てください、このひとの顔を……あなたも知っているひとですよ」
耕助のことばに文彦も、警部のあとからこわごわ老人の顔をのぞきこんだが、そのとたん、世にも意外な感じにうたれたのである。
「あ、金田一さん、こ、こりゃ宝石王の、加藤宝作さんじゃありませんか?」
警部のおどろいたのもむりはない。いかにもそれは日本一の宝石王といわれる、加藤宝作老人なのだった。
宝作老人は左の肩をうたれたと見え、パジャマにピストルの穴があき、ぐっしょりと血に染まっている。そして、たぶん出血のためだろう、気を失って、おりおりくちびるからもれるのは、苦しそうなうめき声ばかり。
「ああ、きみ、きみ、きみ……!」
金田一耕助は気がついたように、刑事のほうをふりかえり、
「医者を、早く、早く……!」
|言《げん》|下《か》に刑事のひとりがとびだそうとするのを、あとから等々力警部が呼びとめて、
「ああ、それから応援の警官を呼んでくれたまえ。銀仮面のやつ、まだそのへんにまごまごしているかもしれないから……」
それから、警部は耕助のほうをふりかえり、
「金田一さん、宝作老人をうったのは、やっぱり銀仮面のやつでしょうな」
金田一耕助はちょっとためらって、
「そうかも知れません、いや、きっとそうでしょう。ぼくはその窓に、銀仮面のすがたがうつっているのを見ました。それからあいつがピストルをぶっぱなすのを……」
だが、そうはいうものの、金田一耕助のその声に、なんとなく熱心さがかけているように思えたので、文彦はふしぎそうに顔を見なおしたのだった。
雑木林のなか
幸い、お医者さんがすぐきてくれたので、宝作老人はそれにまかせて、金田一耕助と等々力警部は、家のまわりを眨伽毪长趣摔胜盲俊N难澶刃淌陇韦窑趣辘狻ⅳ栅郡辘摔膜い皮恧Δ爻訾俊
見ると、ろうかのつきあたりに、ベランダがあるのだが、そのベランダの戸があけっぱなしになっていて、そこからあわい月かげがさしこんでいる。そばへよると、庭からはしごがかけてあった。
「銀仮面のやつ、ここからしのびこんだんですね」
等々力警部はそういって、まっさきにはしごをおりようとしたが、
「ああ、ちょっと待ってください」
なにを思ったか、それをひきとめた金田一耕助、懐中電燈ではしごを眨伽皮い郡ⅳ浃皮撙氦橄趣肆ⅳ盲啤⒁欢我欢巍⒆⒁猡证辘皮い盲俊
そして、庭へおりたつと、なおもそのへんを、懐中電燈で眨伽皮い郡ⅳ浃皮ⅳ趣椁辘皮俊⒌取┝郡颏栅辘à毪取
「どうもふしぎですね、警部さん」
「なにがですか、金田一さん」
「だって、あのはしごにも、このへんにも、どこにも血のあとが見えないのはどうしたのでしょう」
「なるほど、へんですね」
そして、そのとき金田一耕助の顔色が、なんとなく曇っているのを、文彦はふしぎそうに見ていた。
「それから警部さん、もう一つふしぎなことがありますよ」
「なんですか、金田一さん」
「これだけ大きい洋館に、加藤宝作老人ひとりだけということはないでしょう。だれか使用人がいるはずです。その使用人はいったいどうしたのでしょう」
「ああ、それはわたしもさっきから、ふしぎに思っていたところです。ひとつ家のなかを眨伽皮撙蓼筏绀Δ
警部がふりかえったときだった。家のなかからもうひとりの刑事が出てきた。
「警部さん、家のなかにはだれもいませんよ」
「だれもいない……?」
「ええ、でも、ついさっきまで、だれかいたことはたしかです。使用人べやに寝どこがしいてあるのですが、その寝どこにまだぬくもりが残っています」
それを聞くと金田一耕助と等々力警部は、おもわずギョッとして顔を見合わせた。
ああ、その使用人はどうしたのだろう。ひょっとすると、銀仮面に連れられて、どこかで殺されてしまったのではあるまいか……。
一同がなんともいえぬ不安な思いに、顔を見合わせて立ちすくんでいるとき、だしぬけに、やみのなかから聞こえてきたのは、ズドンというピストルの音。
「アッ、なんだ、あれは……!」
警部が叫んだときだった。またもや、ズドン、ズドンとピストルをぶっぱなす音。あまり遠くではない。
「警部さん、いってみましょう!」
金田一耕助は、はや、はかまのすそをふりみだして走っていく。等々力警部と文彦、それから、ふたりの刑事もそれについて走りだした。
洋館を出るとすぐ左側にかなり広い雑木林がある。その雑木林のなかから、またもやズドンと、ピストルの音が聞こえてきた。
「だれだ! そこにいるのは……?」
警部もきっとピストルを身がまえた。
「アッ、警部さん、早くきてください。あそこに、銀仮面がいるんです」
それは電話で呼びよせられた応援の警官だった。
「なに、銀仮面がいる?」
一同はなだれをうって雑木林へとびこむと、
「どこだ、どこだ、銀仮面は?」
「ほら、あそこです。あそこに立っています」
警官の指さすほうを見て、一同はおもわずギョッと息をのみこんだ。
なるほど、五、六メ去毪啶长Δ尾荬韦胜恕ⅳ妞Δ激螭攘ⅳ盲皮い毪韦稀ⅳ蓼欷猡胜y仮面ではないか。
林をもれる月光に、あの気味悪い銀仮面を光らせて、しかもその仮面の下からもれてくるのはなんともいえぬぶきみな声。
「く、く、く、く、く……」
泣いているのか、笑っているのか、その声を聞いたせつな、文彦は全身の毛という毛がさかだつ思いがしたのだった。
動かぬ銀仮面
「銀仮面、おとなしくしろ!」
等々力警部が叫んだ。そして、おどしのために空にむかって、ピストルを一発ぶっぱなすと、
「銀仮面、こちらへ出てこい!」
しかし、銀仮面は身動きをしようともしない。あいかわらず、
「く、く、く、く、く……」
と、ぶきみな声をたてるばかりである。
「おのれ、いうことをきかぬと……」
警部はピストルを身がまえたが、
「アッ、警部さん、ちょっと待ってくだ
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